ヒルデカルト・フォン・ビゲンの音楽の奇蹟

CD ARCHIVES
02 /09 2008



VISION

10年位前だったと思う。当時東京・阿佐ヶ谷に住み、歌手・俳優を生業としていた。ある休みの午後、ふと最近の【現代音楽】を聞きたくなり店に足を運んだ。小さい店だしこのジャンルはあまり数はない。
それでも20枚ほどの中から直感的に決めたこの一枚を買い求めた。

良い音楽はイントロで判る。

最初の音が聞こえるや否や思わず拳を握り締め小さくガッツポーズ!

なんの前情報もなく、こうしてインスピレーションだけで選んだものがすばらしくよかったりすると訳も無く自分自身を 褒めたくなる。

さて、前置きが長くなった。

時は遥か昔に遡る。
12世紀、スジュール大修道院が聖ドニ教会の陰鬱な内装を宝石のちりばめられたゴシック様式に変容されていく。
劇的な象牙の十字架・・・クロイスターズ・クロス
ウイーン近くのクロスターノィベルクの祭壇用の青銅メッキの飾り板など、新しい美術の様式が生まれた革新的時代だった。

過去のどんなものよりも独創的・かつ甘く、人の心を掴み、リズムを持ち、黙示的啓示を創造する天才アーティストが1098年ドイツに生まれた。彼女の名はヒルデカルト・フォン・ビンゲン

貴族の家の第10子として生まれ。両親の手で8歳の時尼僧として出家
ヒルデカルトは幼少より非常に病弱で、他人の目には見えないものを見、未来を予言することが出来たようだ。

《苦しい病床から起き上がるたびに、あらたな幻影を体験した》

《自堕落で背徳的な聖職者たちとの闘い》

苦悩の人生から命がけで生み出される作品

【道をしりて】【人生の功徳の書】【聖なるみわざの書】等の書籍に加え医学についての科学的な研究書も2冊出されている。

ヒルデカルトの作曲は独創性に富んだ音楽とたぐいまれな言語表現力により、聞くものの心に強いインパクトを与える。
それでいて甘く、静謐である。

何しろこのアルバムを聞いていると人間とは霊的な存在であると実感するのだ。

原曲のスピリッツを損なう事無く、非常にアーティスティックな編曲をほどこしたRichard Sout herに脱帽!!
奇跡的と呼ぶにふさわしい程すばらしい!!!

ただ清らかだけではない。『人間が生きていく上で必要なエネルギーが凝縮されている』かのようだ。

Vocal:
EMILY・VAN・EVERA

国際的クラシック歌手


Vocal:
SISTER・GERMAINE・FRITZ・OSB
ベネディクト会シスター
カトリック系学校校長

プロデューサーのTONY・McANANYがこのアルバム制作に彼女を引っ張り出すのに大変苦労したという裏話がある。

編曲・構成・演奏。解釈:
RICHARD・SOUTHER

最後にヒルデカルトの言葉を引用しよう

すべての聖句 すべての聖歌やカンティクムの下で 水のような 神秘的な つむじ風のような 
そして時になにかをはらんだ穏やかな 
様々な音と沈黙とが 私の中で歌う音楽の脈動や満ち干きのうちに
感じられるに違いない
私の新しい歌は 神の吐息に吹かれる羽毛のように漂うにちがいない


言葉がやってくるときには それらはただ音楽を持たない虚ろな貝殻にすぎない 
唄われてこそ 言葉は生きる  
言葉は身体であり 音楽は魂なのだから







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